寿老人は南極老人星(南極星・老人星)の化身とされ、人間の寿命を司る神仙です。
本作は松樹下に鹿を伴い人間の寿命が記される巻物を丹念に読んでいる寿老人が描かれています。寿老人が伴う鹿は玄鹿と呼ばれ、千五百歳を超えており、その肉を食すと二千歳の長寿を得るそうです。鹿(lu)は禄(lu)と音が通じ、富貴や俸禄を表すとも考えられます。また南極星は「りゅうこつ座α星カノープス」が神格化されたもので、戦乱時には見え難く、天下泰平になると見えると信じられていた為、人々はこの星が出ると平和や長寿を祈ったとされます。さらに四季を通じて翠を湛える松も長寿や不変を意味するのはご承知の通りです。以上からこの作品は長寿と富貴、世の安寧を祝う意味があったと思われます。
九十の長寿を全うし晩年まで絵を描き続けた曲江居士は、八十代以降の吉祥画の作例が多いのですが、本作署名にある「文化庚午」(文化七年=一八一〇)は曲江五十三歳で、晩年の作品に見られる人物の丸顔化が無く、貴重な壮年期の吉祥画だと言えます。
縦107.5㎝ 横36.2㎝

















