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おさなご 10月号 平成19年10月更新
はねつるべ
 

荘子(そうし)という書物に次のような話があります。楚という国で、ある農夫が一所懸命に畑仕事をしています。彼は畑に水を撒くのに、甕(かめ)に水を汲んではせっせと運んでいました。そこへ子貢(しこう)という人がやってきました。老いた農夫の仕事振りを見て子貢は言いました。「大変ですね。甕で水を汲んでいたのでは、仕事がはかどりませんよ。貴方ははねつるべをご存じないのですか?材木を一本横たえて、その中央に支えを付け、木材の一方の端にオモリを片方に桶をつけて、水をはねあげるのです。これを使えば一日に百畝(ひゃくうね)の畑に水を撒くことができますよ。」すると農夫は言いました。「私だってはねつるべぐらい知っていますよ。でもねぇ、そんな仕掛けやからくりを使う者は、心もからくりでめぐらされて、本当の純粋な心が無くなってしまうと私は思うのですよ。純粋な心が失われれば、精神や本性が安定しなくなる。だから私ははねつるべをしらないのではない。恥ずかしくて使わないだけなのです。」

数年前、タイの田舎を訪れたときに、この「はねつるべ」というものが、実際に使われている様子を見たことがあります。テコを使って水を掻い出す様子はとても原始的な印象で、当然ながら人力でつるべを持ち上げるのですから、現代人の目からみれば、農夫が気にするほど便利なものではなく、充分心血を注いでいる仕事ぶりなのですが、荘子を記した荘周という人は、紀元前四世紀後半の人ですから、当時としては、はねつるべも画期的なものであり、無為恬淡(むいてんたん)を旨とする荘周の目には、この原始的な農耕具が厭らしいものに映ったのかもしれません。 
効率至上主義の中で生活する我々にとっては、まったく馬鹿げた話とも受け取れる寓話かもしれません。しかし、利便性や能率主義というものに疑問を投じる農夫の姿は、便利なものに囲まれ、ときには便利さに振り回されている私たちの生活にも一石を投じるものであると思います。

企業が利便性や効率性を重視するのは当然のことですが、それに溺れてしまったところに昨今の様々な社会問題があるのではないかと思います、さらには子育てともなれば、利便性や能率性の外にあるものです。

食事にしても、買ってきてすぐ食べられる便利なものでも、盛り付けや食器のいろどりなど、少しの心の添え方で子供は愛情を感じ取ってくれると思うのです。もちろん子供と一緒に食事の準備を出来るようなら理想ですが、そう上手く行かないこの世の中です。「楽だ!」「便利だ!」と思ったら、ちゃんと気持ちが入っているか自問自答して見て下さい。

園長 千坂成也
 
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