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法螺貝 住職の法話

令和八年七月発行

「菩提心(ぼだいしん)」

菩提は、サンスクリット語の「ボーディ(bodhi)」を音写した語で、仏陀の悟りの智慧、また煩悩を断じて至る涅槃の境地を意味します。一般に「菩提心」といえば、悟りを求める心という意味で用いられますが、実はもう一つ大切な教えを含んでいます。それは、自分が悟ることだけではなく、他の人の悩みや苦しみを取り除き、安心を与えようとする心です。
今は「修行」というと、僧侶の資格を取るために行うものという印象が強いのが、残念ながら現実です。本来、修行は個人的な悩みを解決するために行われるものですから、根本的には、個人的な憂いが晴れれば修行の目標は達成されたことになります。しかし仏教では同時に、他者の救済を実現しなさいとも教えます。これは大乗仏教特有の考え方と思われがちですが、タイやミャンマー、スリランカといった国で実践される上座部仏教においても、福祉の大切さを説く慈経という経典が重んじられています。ですから自分の向上と共に他を救うことを重視するのは、仏教に共通する精神なのだと思います。
それでは、具体的に菩提心の実践とは何でしょうか。他の仏教国では、坐禅の際に、自分の身に感じる痛みを通して他人の苦しみが癒えることを観想しなさいと説くことがあるそうです。とてもユニークな方法であり、私たち日本人にとっては少し理解しにくい感覚かもしれませんが、皆さんはどうお感じになるでしょうか。
菩提心の実践のひとつに、「慈・悲・喜・捨」があります。これは、他者に安楽を与えようとする心、世の中の苦しみの声に共感する心、人の楽しみを自分の喜びとする心、自他を平等に感じる心を指します。このような心で日々を過ごすことができれば、穏やかな毎日を頂いていけそうですね。

 
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