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法螺貝 住職の法話

令和六年三月発行

「彼岸」

 三月の仏教行事と言えば彼岸会。彼岸会は太陽が西の正中へ沈む日を中日として、前後合わせて七日間の行を営むのが本来で、平安時代末期の早良親王の供養の為に始まったものとも言われます。早良親王は藤原種継暗殺事件に関連し、廃太子の上、配流、さらにはこれに抗議して憤死した方。その死後、皇族の不幸や都に疫病の流行があり、親王が怨霊となって祟りを起こしたと信じられました。荒ぶる親王の御霊を鎮める為に延暦25年(1418)に始まったのが、仏事として彼岸会です。
 早良親王の件はしばらくおき、彼岸会の背景には上記の通り、西方浄土に対する信仰があります。西方浄土というと浄土宗のものと理解されるかも知れませんが、禅宗も多くの仏教と同じように西方浄土に対する信仰があり、往生する場としては西方浄土を想定しているのです。我々も葬儀の際に「南無西方極楽世界阿弥陀仏」と唱えますからね。もっともこの言葉を読む際には「ナムシイホウキラシカイオミトフ」と中国語っぽく発音しますので、一般の会葬者には分からないかも知れません。
 瑞巌寺中興開山の雲居禅師は「阿弥陀仏悟れば即ち去此不遠(こしふおん) 迷えば遥かの西にこそあれ」とおっしゃって、日々、心を調え、慈悲深く正直に生きることを勧めました。  
 彼岸はそもそも悟りの世界のこと。これに対し、迷いの世界を此岸(しがん)と呼びますが、雲居禅師の教えによれば迷いの世界にあって、右往左往しながら正しく生きようとすることが大切なのでしょう。
出来るかどうかは別として…。

 
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