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法螺貝 住職の法話

平成十八年九月発行

『 春夏秋冬 』

近頃すっかり秋らしくなりました。先日までは暑い暑いと不平を言っていたのに、夏が去るかと思うと何となく寂しいような心持になるのは私が未だ若いせいでしょうか?

春百花あり 秋月あり 夏涼風あり 冬雪あり 若し閑事の心頭に挂くる無くんば これ人間の好時節(無門関十九)

(春は芳しい花が咲き乱れ、秋の澄んだ夜空には明月が皓皓と輝き 夏は風がこの上なく心地よく感じられ、冬には深々と降り積もる雪が静寂の世界を作り上げる。つまらない事をくよくよ心に掛けなければ、年中この世は好い時節である。)

 先日、ハワイのお寺の寺庭エイドリアン山口さんが亡くなられました。ハワイの寺は、嘗て当山の先住が兼務住職を務めており、現住の山口師は私とは兄弟弟子の間柄で、先住精道和尚亡き後も、協力し様々な活動をして参りました。エイドリアンさんはカナダ人で、ロスアンゼルス郊外のマウントボルディ禅センターで山口師と知りあったといいますから、まさしく仏法が繋いだ縁で、ハワイの寺の寺庭となられたのであります。

 病状が悪化してから、彼女に山口師が、何か欲しいものは無いかと尋ねたところ「私は四季が欲しい。」と仰られたそうです。四季のある故国を想ったものでしょうか。山口師は、この言葉が何よりも心に残ったといいます。ハワイという世界でも屈指の風光明媚なる処にあっても故郷を懐かしむというとは人間のみならず、生きとし生けるもの性とも言えるものでありましょう。また省みれば春夏秋冬の花鳥風月に親しめる日本のような風土は何よりの贅沢なのかもしれません。末筆となりましたが、上山の際にはいつも笑顔で迎えてくれたエイドリアン山口さん、法号春夏秋冬大姉のご冥福を心より念じます。

東園寺住職 成也 和南

 
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