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法螺貝 住職の法話

令和四年八月発行

「施餓鬼(せがき)」

 

お盆のシーズンになりました。臨済宗寺院のお盆は施餓鬼会(せがきえ)と名付けられる法要が営まれます。文字通り餓鬼に施すお勤めなのですが、さて餓鬼って何でしょう?
餓鬼の原語はサンスクリットで逝けるものを意味するプラータ。これが中国では死者の魂を表す鬼と訳され、さらに仏教で説かれる飢えた死者という特性をより強調した名称として「餓鬼」が用いられるようになりました。死後に待ち受ける六道輪廻の世界では地獄に次いで悪い場所が、餓鬼の住む餓鬼道。餓鬼は喉が細い上に胃袋が大きくいつもお腹を空かせていますが、食べ物を食べようとするとそれが炎に変じ、口に入れることが儘なりません。
ある時、お釈迦様の高弟阿難尊者が坐禅をしていると焔口(えんく)という餓鬼が突然現れ、「三日以内にお前は死ぬ!そして私のように首が細く腹だけポコんと出た餓鬼に生まれるのだ!それが嫌ならば、三日以内に餓鬼道に落ちている全ての者に食を施し、仏法僧を供養するのだ。さすればお前の寿命は延びて救われるであろう。」と脅しますが、修行者である阿難に餓鬼道全ての餓鬼に供養する財力などありません。困り果てた阿難はお釈迦様に事のあらましを話し、教えを請いました。
お釈迦様は観音菩薩によって導き出された呪文を唱えながら、一食分の食事を施せば、これが無量の食となり、全ての餓鬼は空腹を満たされ、全ての苦難は無くなるであろうと説かれます。言うまでもなく阿難はお釈迦様の教えで救われ、これが禅宗で行われる施餓鬼会の典拠となるのです。そしてこの呪文を骨子として出来上がったのが、開甘露門というお経です。
餓鬼に生まれ変わる原因は欲張りや物惜しみ、必要を越えた殺生、人の命を奪ったり、財産を盗んだりした者等々、多岐にわたります。気を付けましょうね!さて子供の事をガキというのはこの餓鬼が転用されたもので、子供は常にお腹を空かしているからという理由のようです。お腹を空かしているような元気な子供が増えると日本の未来も安心なのですが(笑)
お盆は先祖の供養の為に餓鬼幽霊に施す法会です。ご自分のご先祖様はもちろん、祀り手のいない御霊にも等しく心を傾けて頂ければ幸いです。

 
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